釈迦三尊十六羅漢像
絹本著色 一幅 121.4×55.2cm 室町時代(15世紀)伝・李龍眠筆
滝水を配した俯瞰的な山水描写のなかに、釈迦三尊と十六羅漢を併画して一幅に構成する。
釈迦三尊は、東福寺本釈迦三尊像のような元画をもとに展開してきた図像によるが、造形的な表現力は弱まっている。
羅漢は四群にまとめられ、類品にありがちな積層構図の平板化を免れる空間性を保つ。
右上の乗雲する一団七人の羅漢の図像は、金大受系の十六羅漢ではなく、同じく南宋画の五百羅漢図中に源をもつ群像を取捨改変して転用したふしがある。
幾つか転写本を生んだ元画の鹿王院本十八羅漢図のように、中国画祖本の存在も考えられる。
(県立歴史博物館「寺院の絵画・大覚寺」より)