「地蔵菩薩二童子像」
絹本著色 一幅 95.4×37.0 南北朝時代(14世紀)右手に錫杖、左手に宝珠をとる地蔵菩薩が、岩上に浮かぶ月輪内の蓮華座に坐す。
背後に霞引きのある大和絵山水が確認できる。
手前には金剛棒をついて立つ赤色身、金剛杵を脇にはさむ白色身の二童子が配される。
両童子は不動明王脇侍の矜羯羅(コンガラ)・制吒迦(セイタカ)と同体に表され、平安末頃の偽経『仏説延命地蔵菩薩経』が説く延命地蔵の脇侍、堆掌善・掌悪の二童子とみれる。
この経は半跏する特殊な像容の延命地蔵を説き、不動と地蔵の一体性を主張するが、本図では通形の地蔵。
袈裟の金泥卍繋文は精緻で、面相・体軀の仕上がりもシャープさを残す。
(兵庫県立歴史博物館発行「寺院の絵画・大覚寺」より)