釈迦三尊像―中尊釈迦如来―
(国指定重要文化財)絹本著色 118.1×58.5 鎌倉時代(13世紀)
中尊釈迦は転法輪印を結び、火炎付き二重円光を背負って蓮台上に結跏趺坐する。中尊の台座、脇侍の動物ともバランス的に小さい。
肉身線は、朱線の下描をねばりある墨線で描きおこす丁寧な造りをみせ、金は使用せず、彩色も褐色を主調に墨線を生かした宋風を示す。
釈迦幅の画趣は、台座前方の卓とも大阪・祥雲寺本に通じるが、図像はより古様である。転法輪印を結ぶ三幅本では、常盤山文庫本が近似する。
装飾性や脇侍の左右配置など違えるが、十六羅漢像と一具で伝来している。
(県立歴史博物館「寺院の絵画・大覚寺」より)
■寺宝よもやま話■ ―釈迦三尊像のこと―
仏教は紀元前5世紀ごろに釈迦が悟りを開き、その教えを広めたことによって始まりました。釈尊を礼拝の対象として様々な図像が作られています。
なかでも「釈迦の五印」というのがあって、釈尊の身振りや手振りを印相で表わし、重要な意味を持たせています。
説法印・施無畏印・定印・降魔印・与願印の五種類のうち、この像は説法をする姿を表わしたもので、転法輪印ともいいます。