釈迦三尊像(両脇侍~文殊・普賢菩薩~)
(国重要文化財)絹本著色 三幅のうちの二幅 104.0×48.5 鎌倉時代
釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩をそれぞれ一幅ずつに描く。
釈迦を三尊像として表す場合、両脇侍は古く大陸では一定しない場合も多いが、本邦ではほとんど文殊・普賢の両菩薩に定まっている。
両菩薩の左右に関しては、宋風釈迦三尊の名作として知られる神戸・太山寺本や岡山・頼久寺本のように、向かって右に文殊、左に普賢が普通と思われるが、大
覚寺本の場合は、両脇侍の向きからして右に普賢、左に文殊を配するように三幅をかけるべきと思われる。このような例は、非常に珍しいが典拠は明らかではな
い。
普賢と文殊は、それぞれ象と獅子の背上の蓮華座に半跏趺座し、両者とも宝冠に化仏がつく。普賢は三鈷剣をのせた蓮華、文殊は如意を持つ。
柔らかくゆったりとした肉身の表現は、平安仏画の余風をとどめているが、宋代の影響を受けた理知的な表情も明らかに認められる。
着衣の装飾に切金を用いるような華麗さはなく、控えめな彩色文様を施すだけで、墨による衣文線を効かせる清楚な表現も新様といえよう。
(龍野市歴史文化資料館「播磨国揖保郡の文化財」より)
■寺宝よもやま話■ ―文殊・普賢菩薩―
本尊の左右に脇侍を置く三尊形式を見ることが多くありますね。
阿弥陀如来の左右には観音菩薩と勢至菩薩。薬師如来には日光と月光の両菩薩。そして、釈迦如来の左右には文殊・普賢の二菩薩。
水戸の黄門さまに助さん格さんのお供がいて、主人を守り悪をこらしめるように、それぞれの菩薩は本尊の働きを助ける役目があるのです。
「三人寄れば文殊の知恵」といわれるように、文殊菩薩は知恵を、普賢菩薩は慈悲をつかさどり、釈尊の衆生救済の働きを助けておられるのです。