観心十界図
紙本著色 一幅 107.4×74.2 江戸時代
「心」字を中心に、上部に天上界、下に地獄、左右には人界、畜生、餓鬼、修羅などの世界が描かれている。
人間はすべて生前の「心」のあり方によって、死後に行く世界が決まるという。
そのため地獄が大きく描かれ、様々な責め苦が、実にリアルに表現されている。
これも寺院において、人々への説法に用いられていたものである。
(朝日新聞社主催「大妖怪展」図録より)
■寺宝よもやま話■ ― 十界(六道と四聖) ―
古代インドでは輪廻転生、つまり生まれては死に、死んでは生まれ変わることを果てしなく繰り返すと考えられ、この迷いの世界から抜け出せないことが、最大の苦しみとされていたのです。
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六つの世界を六道といいます。私たちは死ねばこれらの世界のうちのどれかに所属することになるのです。
それは、すべて自分のなした行為(業といいます)によって決められます。つまり自業自得なのです。
輪廻の苦しみから抜け出すことを「解脱」といいます。仏教は解脱を求めて説かれた釈尊の教えなのです。
六道輪廻から抜け出していく世界があります。
声聞・縁覚・菩薩・仏の四つの世界で、これを四聖といいます。六道とあわせて十界というのです。
念仏を信じ唱える者は、十界の最高位である仏の世界、すなわち阿弥陀仏の浄土に生まれていくのです。