今月の寺宝

ここでは大覚寺に伝わります
絵画・文書類を中心に御紹介していきたいと思います。

当麻曼荼羅中尊 阿弥陀仏


絹本着色   一幅   197.7×100.6    江戸時代(17世紀)

 奈良時代に、藤原豊成の娘だった中将姫(法如尼)が、その母を失った悲しみのために出家し、なんとかして母のいる西方極楽浄土を見んものと、父の領内か ら蓮の糸を集め、それで織ったといわれている。

そのもとのものは、大和の当麻寺に伝わっているので、当麻曼荼羅と呼ばれている。

 その後、この曼荼羅を転写することがはやり、大覚寺には鎌倉時代と安土桃山時代の二幅が伝えられている。

 阿弥陀三尊を中心にして、極楽浄土の様子が細かく描かれているが、ここに紹介する像は曼荼羅の中尊である阿弥陀如来だけを独立して描いた、珍しい作品で ある。

本紙だけで2メートルの高さがある、堂々たる図像である。
両手を胸の前に轉法輪印を結び、説法する姿を表している。

頭上には色とりどりの美しい花が降り注ぎ、台座には獅子が色あざやかに描かれている。

 軸の裏書に「當麻曼荼羅中尊 一幅 實津院什物 京都四条通り柳馬場西入佛絵師 望月平兵衛」
「明和二年 寄付主 慈空和尚 大阪吉野屋徳兵衛」
と記載されて、作者と描かれた年代がわかる。

 實津院というのは、大覚寺の境内の塔頭であったが、今は存在しない。

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