二河白道図
紙本著色 一幅 50.2×81.7cm 江戸時代中国唐代の善導大師の説かれた譬えを絵にしたもの。
幼少の頃に故郷を離れて成長した男がありました。
ある時、彼は故郷に帰って両親に会いたいと思い、故郷のある西に向かって旅に出ました。
突然、目の前に河が現れます。火の河は南、水の河は北にあり、中間に広さ四、五寸の白い道があり、水と火が押し寄せています。
しかも強盗や悪獣が後ろから迫ってきており、進んでも戻っても、立ち止まっていても死をまぬがれません。
その時、東岸に声があり「その白い道を行け」と勧め、西の岸からは「白道を一心に来たれ、汝を守るであろう」とよぶ声がします。
旅人は疑いなくまっすぐに進んで、無事に西の岸に着いたのです。そこは懐かしい故郷であり、極めて楽しいところであった、というのです。
火の川は人間の怒りと憎しみ、水の河は貪愛。
白道は清浄の信心、東岸の声は釈尊の教え、西岸の呼び声は阿弥陀仏の救い。
凡夫が浄土に往生する姿を、具体的な喩えで示された絵です。