如意輪観音と性空上人像
絹本著色 一幅 100.8×39.7 室町時代(16世紀)経机をすえ法華経を読誦する黒衣の老僧は性空上人(?~寛弘四年/1007)で、超人的な能力で上人に仕えた護法二童子が配される。
立像が乙天で坐像が若天である。一方、影向するかのような涌雲を伴い岩上に浮かぶ月輪内の蓮華座上に、半跏して坐す六臂の如意輪観音を図す。
性空は、康保三年(966)に播磨書写へ入山し、天禄元年(970)には桜木で如意輪観音像を刻ませ、如意輪堂を建てたという。
性空像は書写山円教寺以外では遺品に恵まれないが、根津美術館にほぼ同寸の同工作がある。大覚寺への伝来は不詳である。
(兵庫県立歴史博物館発行「寺院の絵画・大覚寺」より)