大黒図
紙本墨画 一幅 111.3×48.0 江戸時代(18世紀)
大岡春卜筆
大岡春卜(1680~1763)は独学で狩野派の画風を習得し、主に京都や大阪で活躍した画家である。
『画巧潜覧』など絵手本を多く出版したことで知られ、春卜の絵手本が当時の絵画界に与えた影響は大きかった。
享保二〇年(1735)に法眼位に叙されているから、本図が春卜筆と認められるなら制作年代はそれ以降だと推定できる。
(兵庫県立歴史博物館発行「寺院の絵画・大覚寺」より)
■寺宝よもやま話■ ―大黒天のこと―
大きな袋を後ろに置いて、米俵にまたがり打ち出の小槌を振る姿は、お正月にふさわしい目出度い図柄です。
インドではヒンズー教の最高神シバの化身とされ、マハーカーラが正式名です。
マハーは「大」、カーラは「黒」を意味するので「大黒天」となりました。
平安時代の後期に、大黒が大国と混同され、大きな袋を肩にかけた「大国主命」のイメージと重なってしまったようです。
台所の守り神であったところから、食事に不自由させない裕福な福の神となったのです。