地蔵菩薩・二童子像
木造 制作年代・作者不明大覚寺境内にある地蔵堂の本尊である。
地蔵菩薩はわれわれ日本人にもっとも親しまれている菩薩さまです。
サンスクリット語ではクシティ・ガルバといい、大地の母胎という意味です。
仏教では釈迦がこの世を去ってから五十六億七千万年後に弥勒菩薩がこの世にあらわれるまでのあいだを、無仏の時代といいます。
この時代は世の中の秩序がまったく乱れる末法の世になって、暗黒時代が続きます。
この無仏の時代にあらわれて人々を救済するのが地蔵菩薩なのです。
地蔵菩薩は、普通僧侶の姿をしています。
右手には錫杖(しゃくじょう)という杖を持って蓮華の台座に立っています。
普通は一人か、六地蔵のように六体か、または二十五菩薩の一人としてあらわされますが、大覚寺の地蔵菩薩は二童子を伴っています。
向かって右を掌善童子といい、白色で白蓮華を持ち、左を掌悪童子といい赤色で金剛杵を持っています。
二人の侍者を従えた地蔵尊像はあまり例がなく、大変珍しい作例です。