大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2012年(平成24年)12月のミニミニ法話・お説教

2012年(平成24年)12月

玄禮和尚のお説法

2012年(平成24年)12月

~ 第057回 「童心浄土」 ~

 11月に発表された秋の叙勲に、女優であり歌手の宮城まり子さんの名前がありました。

日本最初の肢体不自由児の特別支援施設「ねむの木学園」を、自分の力で創設してから今年で45周年。

「誰もやらないのなら、自分がやらなきゃ」という思いで養護を始めたものの、体の弱いまり子さんにとって、それは大変な事業だったようです。

 苦しみと悩みに満ちた毎日の生活の中で、まり子さんを支えたのは子どもたちの絵だったのです。

おおらかで、なにものにもとらわれないで、いきいきと、のびのびと、自由で明るい詩情にみちた作品こそ、ねむの木学園の子どもたちの世界なのです。

静岡県掛川にある「ねむの木学園・こども美術館」を訪れた人々は、その絵から大きな感動を受けます。それは子どもたちの絵が、素直な感動をそのまま表現し ているからです。

絵を見た女性の一人が、「とても素晴らしい絵ね。どんなに障碍があっても、心は障碍を持たない人よりも美しいんですね。私、生きる勇気がわいてきました」 といっています。

人は皆、美しいこころに出会って、汚れきった自分の心を洗うことができるのです。

 この永観堂の幼稚園でも、11月には「もみじまつり」があって、園児たちの作品が展示されます。

同じテーマの絵であっても、色使いや構図が違っていて、きらきらするほどの、一人ひとりの個性の輝きがあります。

大人には決して描けない素直な感動があります。粘土やペーパーを使った立体的なオブジェも、その豊かな発想に驚きます。

金子みすゞさんの「みんなちがって、みんないい」という世界があります。

 どうして子どもたちの絵が、こんなに人の心を打つのでしょうか。

「童心浄土」という言葉があります。岡山県生まれの児童文学者・坪田譲治さんの文学碑に刻まれたことばです。

童心とは、きれいなものを素直にきれいと感じるこころです。正直なこころ、飾らないこころがあるから、人のこころを打つのです。

童心即仏心。童心は仏心に通じます。まり子さんは「やさしいこころ」といっています。

「やさしくね。やさしくね。やさしいことは つよいのよ」 

 毎日があわただしい日暮しならば、時には美しい絵を見て、美しいこころに出会って、心を洗ってみることも大切です。

 私自身の「童心」を取り戻すためにも。

法話一覧へ