今月の法話

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

弟子のひとりごと ~末吉信禮~


2009年(平成21年) 4月

~ 第006回 「徹・綾ちゃん結婚おめでとう!」 ~

 徹君、綾子さん。ご結婚おめでとうございます。
またご両家の皆様、新婦上田さんのお父さん・お母さん・お兄さん、新朗竹下さんのお父さん・お母さん・妹さん・そしておばあちゃん、本当におめでとうござ います。

 申し遅れました。私は姫路より参りました、末吉と申します。姫路の大覚寺というお寺で僧侶をしています。
徹君とは(いつものように徹と呼ばさしてくださいね)徹との付き合いは、かれこれ10年になりましょうか?
彼がアンダーラウンジというバーで働いていた時にご縁をいただいた友人です。

それ以来、「居酒屋ぽんと」そして現在経営の「焼酎酒屋たけ」と、ストーカーのように追い回しているわけです。
バーのスタッフといち客の関係が、あっという間に私にとっては「弟のような後輩」、彼にとっては…座席表には「人生の先輩」と書いてあります。うれしいで すね。

 彼とは共通点が多いんです。血液型がO型。干支がうま年。高校の学区が第5学区(布施と八尾)。そして何といっても、そばアレルギーまで一緒なんです。
人生観も似ていて、「大切なのはご縁ですよ。出逢い、一期一会でしょ。」と徹がよく口にしているように、人付き合いをとても大事にするので、尚更うまが合 いまして、今日こうしてこの場に立たしてもらっている次第です。

 今さら徹を褒めるつもりはありませんし、新朗側のご来場の皆さんは良くご存じでしょうが、彼はとても人望がある男なんです。誰からも好かれる。見た目は 芸人のキム兄のようにイカツイんですが、付き合ってみるとカワイイ所があって、ほんまに「ええやつ」です。

だからこそ今日、「110名ですか?」こんなにたくさんの、しかも年齢も仕事も多種多様な人々がお祝いにかけつけているわけです。
 せっかくですから、今日は特に新婦のご親族に徹の人柄を知ってもらうために、彼の男気のエピソードを少し披露させていただきます。

 徹が地元では、平成の八尾の朝吉(アサキチ)と呼ばれていることは、皆さんもご存じのことと思います。
昭和の八尾の朝吉といえば勝新太郎。その勝新に負けない男気。
 最初の登場が衝撃的でした。私がバーで外国人に絡まれているところを助けてくれました。毅然とした態度でゴツイ黒人を追い払う彼の姿は、まさに勇気の塊 でした。

  それから3年後、川で溺れている子犬を助けるために、辺りを構わず川に飛び込み、子犬にまっしぐらに泳いで行く姿は、今でも目に浮かびます。残念ながら、 子犬は上手に流されて自然に向こう岸にたどり着き、からだをブルッとふるわせて、徹を振り返ることなく去って行きましたが…。
それに動じることなく、Uターンして戻ってくる姿は、まさに優しさの塊でした。

 そして、忘れてはなりません。5年前の春、御堂筋と長堀の交差点での出来事です。
横断歩道を渡っていたある女性に、1台の信号無視のトラックが突っ込んで行きました。彼女は携帯メールに夢中、耳にはイヤホンが、トラックに気づく様子が ありません。

「危なーい!!」周りの人が息をのんだ瞬間。一つの影が飛び出しました。
お察しのとおり、徹です。女性に向かって猛ダッシュ。
「頼んだぞ、間に合ってくれ…。」みんながそう思ったまさにその時。

願いが通じたのでしょうか、トラックの急ブレーキが間に合って事無きを得たのです。
残念なことに、徹は横断歩道の段差につまずいて転倒。女性は何事もなかったかのように、振り返ることもなく反対側に去って行きましたが、救出に向かう彼の 姿は、まさにヒーローの塊でした。

 その女性が実は綾子さん。…ではありませんよ。
進行方向が青信号になり、立ち上がろうとする徹に容赦のないクラクション。その時です。
ある女性が道路に飛び出し、手を差し伸べて彼を起こし、車ににらみを利かせて彼を助けてくれました。そうです。その女性こそ綾子さんでした。

 以上はすべて私の妄想なんですが…そうですよ、作り話です。
でも、もし同じ場面に徹が遭遇したら同じことをしていたと思います。いや、そうであってほしい。いやむしろ、そうなってくれ。

 冗談はこのくらいにして、そろそろまとめに入りたいと思います。
 仏教には三本柱がありまして、一つには報恩感謝、二つには懺悔滅罪、三つには誓願立志です。

わかりやすく言いますと、①感謝の心=これは徹が普段から一番心がけていることです。
②反省する心=これがないと人間は成長しませんよね。
③願いを誓うこと=先ほどの挙式で、新郎新婦お二人が「誓いの詞」を宣言しましたね。

 この三本柱を禅宗のお坊さんでアメリカの伝道師=嶋野栄道老師がこのように仰られています。
①感謝とは<Thank you> ②懺悔とは<I’m sorry> ③誓願とは<I love you> なんだ。アメリカ人に仏教をわかりやすく説くのに、この3つの言葉しかないのだと。

 徹、綾子さん。お二人にはこの3つの言葉をお互いにいつまでも言い合える家庭を築いてほしいと私は思います。
  二人が出逢い最初に感じた【ときめ木】という樹に、「いつも支えてくれてありがとう。」と水をやり、「気がつかなくてごめんな。」と肥料をやり、「愛して いる よ。」これは男性は中々言えませんね。でも、心に思うことはできるでしょ。お日さまのように、自然と降り注がせましょう。

そうすると、【ときめ木】が【やすら木】に変わるんです。どうぞ安らぎでいっぱいの家庭を築いてください。
そのことをお願いして、お祝いのご挨拶と代えさせていただきます。「末永くお幸せに。」ありがとうございました。

(平成21年4月18日 竹下家・上田家ご結婚披露宴より)




マイクの感度が今一マイクの感度が今いち?
徹と綾ちゃん徹と綾ちゃん 「ほんまおめでとう!」
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