今月の法話

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

弟子のひとりごと ~末吉信禮~


2008年(平成20年) 6月

~ 第002回 「タバコの出逢い」 (前編) ~

 

  6月1日から“taspo”の使用が始まりました。自販機ではそのタスポカードがないとタバコを買えなくなり、未成年者が買えなくなることが第一の目的だ そうです。
  タバコを吸わない私からすると…そんな手間もお金もかけて、24時間営業のコンビニで販売している昨今、いったいどれほどの効果があるのか疑問を持たずに はいられないのですが…とにかく愛煙家の皆様、ご苦労さまです。
 実は、私にも2年間ほど喫煙していた経験がありまして(…というと愛煙家の皆様から、この根性なし!!とお叱りの声が聞こえてきますが)、そのきっかけ となった出逢いを今回の出来事で思い出しました。

 それは…高校を卒業したての23年前の春、交通警備員のアルバイトをしていた時の話です。

 その他にも郵便局や引っ越し、宅配や構内作業員、バーテン・ウエイターから新歌舞伎座舞台効果の変わり種まで経験したバイトは数あれど、交通警備員は私 にとってダントツの割に合わない最悪のバイトでした。
 理由は、まず現場によっての良し悪しです。次にパートナーの良し悪しもあります。そして工事作業員の良し悪しという風にアタリハズレが大きいことです。

 特に新人はそのハズレが重なり、交通量の多い対面通行道路を片側通行にする現場で、何も教えてくれない年配の自分勝手な先輩と組み、見よう見まねで誘導 してると機嫌の悪い工事のおっさんにどやされ、トラックを停めるとイカツイ運ちゃんに怒鳴られ、タクシーを停めても運転手さんに文句を言われ、パニくって 黒塗りのベンツ様を停めてしまったら最後、発進するまでクラクションが鳴り止みません。

 慣れるまでは、それまで経験したことのない屈辱と一切感謝されない仕事の疎外感の洗礼を受け、辞めることしか考えてませんでした。しかし当時は、今ほど バイトの労働条件が確立されてなく、週払いの契約でしたから途中で辞めると働いた日当はでません。一週間の辛抱じゃと何度も自分に言い聞かせているうち に、ようやく良い先輩と組めたり、ラッキーな現場にあたったりし始めました。

 その現場は大阪の中崎町、梅田から天神橋筋6丁目へと向かう4車線の一方通行。工事はアスファルトの張り替えで、3車線を削って1車線のみ通行という渋 滞すべくしての大渋滞。ドライバーは怒り心頭だが私にとってはラッキーな現場でした。
 片側通行のような絶えず誘導に気を使うこともない、工事のトラックが出入りする時にバリケードを外して誘導するだけで、あとは逆に暇との戦いでした。暇 過ぎるのも要注意で、うっかりしてると資材を積んだトラックを見過ごして大目玉です。

 何かいい暇つぶしはないかなあ…とぼんやりしている私のところに、大渋滞を片手で切りながら一人の中年男性が渡って来ました。
                                             (中編につづく…)


5 月11日 法然上人を歩く旅
高砂 時光寺にて真砂の井口さんたちと
5 月20日 全国青年会念仏行脚
京都鹿ケ谷 安楽寺にて
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