大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2014年(平成26年)1月のミニミニ法話・お説教

2014年(平成26年)1月

玄禮和尚のお説法

2014年(平成26年)1月

~ 第070回 「誓 願」 ~

 「大晦日定めなき世の定めかな」 井原西鶴の句です。

定めなき世ではあるけれど、年の終りには仕事にも生活にも区切りをつけて、心機一転、新しい年を迎えようという庶民の智慧でしょう。

 さて、一夜明ければ平成二十六年の元旦です。なにはともあれ、明るく希望に輝く年であってほしいものです。

 年の初めに「誓願」ということを考えてみましょう。今年の干支である馬には申し訳ないのですが、仏教に「意馬心猿」という言葉があります。

中国浄土教の祖師の一人である曇鸞大師は「然るに凡夫の心は野馬のごとし」といわれています。煩悩や妄念がしきりに動いて心が落ち着かない様子を、狂躁する奔馬に譬えた言葉です。

別の経典には「誓願なければ牛の御するなきがごとく、その赴くところを知らず」と説かれています。

牛や馬のように、人間も欲望が野放しにされると、どこまで突き進んでいくか分からないから、誓いを立て願いを興し、その目的に向って心を整えていかねばならない、という教えです。

 人間は本来、弱い心を持って生きています。元大リーガーの松井秀喜さんは、石川星陵高校の恩師・山下監督から卒業の時のはなむけに「おいあくま」という言葉を贈られたといいます。

 「おごるな いばるな あせるな くさるな まけるな」

得意の時こそ驕らず、威張らず、失意の時は焦らず、腐らず。誰もが持っている人間としての弱い心に「負けるな」との戒めです。

そんな心を整えて、意志を強くするには、たとえどんな些細なことでもいい、実行可能な計画を立てて、それを仏さまに誓い、願いを実現しようと努力することが大切なのです。

 この一年を悔いなく生きていくために、どうか新たな気持ちで誓いと願いを立てて、一つでも実行してみてください。

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