大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2014年(平成26年)4月のミニミニ法話・お説教

2014年(平成26年)4月

玄禮和尚のお説法

2014年(平成26年)4月

~ 第073回 「花まつり」 ~

 「花まつり」という言葉には、美しくて懐かしい響きがありますね。

4月8日、お釈迦さまのお誕生日を「花まつり」というのは、春 の花々が咲き乱れる季節と重なるからです。

また、お釈迦さまがお生まれになった所が、ルンビニの花園と伝えられているからでもあります。けれど、その日を「花まつり」と呼ぶのは、深い意味があるの です。

 「雑華厳浄(ざっけ・ごんじょう)」という仏教語があります。さまざまな花が咲き乱れて、この世を清らかに飾っていく、という意味です。

それは、単に花だけのことを言っているのではありません。この世のなにもかもが「花」だというのです。

広い空いっぱいに星が輝いているように、この大地には限りないさまざまな花で満たされているのです。

そのことに気づかせていただいて、それぞれみんなが自分の花を精いっぱい咲かせなければなりません。

 ノートルダム清心学園理事長・渡辺和子先生の著書に、『置かれた場所で咲きなさい』というベストセラーになった本があります。

今ある場所で努力し、花開く生き方をしようと呼びかけておられるのです。

男は男の、女は女の、年よりは年寄りの、そして子どもは子どもの、みんなが自分の花を咲かせて、この地球上をきれいに飾っていく・・・・。

そんなことを考えるのが「花まつり」の意義であると思います。

 花、といえばこの季節はなんといっても桜の花ですね。桜の季語に、初花・花・残花があります。

「初花」は彼岸桜、その年の春、最初に咲く桜がこれです。「花」は染井吉野。豪快な咲きっぷりが見事です。「残花」は八重桜。絢爛たる装いを競うように咲 きます。

   春風の花を散らすと見る夢は 覚めても胸のさわぐなりけり

と西行も歌っているように、短い花のいのちに自分のいのちを重ねてみるからこそ、人間を含めた生きとし生けるものの「いのち」に、愛おしさを感じるので す。

 天上天下唯我独尊。誕生の宣言である釈尊のこの言葉は、「この世界において自分はただひとり。いのちはただ一つ」という意味です。それは、他の人も同 じ。

 だから、自分を愛し、他の人を愛し、ただ一人・ただ一つのいのちを大切に。そして、この世に生を受けたことに感謝して、自分の花を咲かせなければならな いのです。

法話一覧へ