大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2015年(平成27年)1月のミニミニ法話・お説教

2015年(平成27年)1月

玄禮和尚のお説法

2015年(平成27年)1月

~ 第082回 「羊歳に想う」 ~

 新しい年の初めに皆さまのご健康とご多幸をお祈りします。
 「年は唯黙々として行くのみぞ」  高浜虚子

馬の年があわただしく駆け抜けて過ぎ去り、明けて今年はマイペースでゆっくりと草を食む羊の年です。

古代中国でも柔順でおとなしい羊を大切にしていたようで、「羊」という字を含んだ漢字には目出度い意味で使われることが多いのです。

 道理にかなった行いを意味する「善」、正面からの立ち姿を褒めた「美」、羊を食べると書く「養」、際立った美しさを意味する「鮮」、目出度いしるしの 「祥」、正しい・良いという意味の「義」など、枚挙にいとまありません。

 「幸」という字は一説によると、「十一」と「羊」を組み合わせた文字だといいます。古代中国では十は満数、つまりそれ以上満ちることも欠けることもない 円満を表す数なのです。

その上にもう一つあればいいなあ、という欲望が実現した時に幸せな気分になるというのです。

確かに、戦後の日本人はアメリカやヨーロッパの物質文明の影響を受けて、道具や電化製品を一つでも多く持つことが便利で快適な生活をもたらすと信じてきま した。

やがてバブルがはじけ、「物で栄えて心で滅ぶ」という反省もあって、今また「少欲知足」が見直されているのです。

 便利さや豊かさに眼を奪われ惑わされ、一つでも多くという欲望が自らの生活環境を破壊してきたことに気づかなければなりません。

 「損か得か、人間のものさし。 嘘か真(まこと)か、仏さまのものさし」相田みつをさんの言葉です。

損得勘定ばかりの世の中の風潮に流されて、家族関係や大切な人間関係だけでなく、わが身自身さえ滅ぼす種をまき散らしてきた私たち。

今こそ、美しい心を養い、善い行いを実践し、本当の「幸せ」の在りかを求めて、仏様の教えを聞く素直なこころが大切です。

 新しい年にふさわしい善い夢を描きましょう。一つでも二つでも自分の「夢」を見つけ実現させましょう。

ただし、それが「羊頭狗肉」に終わらないよう、お互い努力いたしましょう。

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