大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2015年(平成27年)2月のミニミニ法話・お説教

2015年(平成27年)2月

玄禮和尚のお説法

2015年(平成27年)2月

~第083回「あきず/あせらず/あきらめず」~

 ~管長再任のご挨拶~

 平成22年2月に総本山永観堂禅林寺の第90世法主・管長に推戴されて就任以来、5年が過ぎました。短いようで長い5年でした。

永観堂の管長の任期は5年なので、この1月末日には円満退任して網干の自坊に帰る準備をしていました。

ところが、昨年11月に行われた「次期管長推戴委員会」で、「中西管長」の続投を望む意見が強くあり、全委員一致で再推戴されました。

  この宗派は15年前の88世までは選挙で管長が選ばれていました。時代とともに自ら手を挙げて私がなる、という勇気ある人がいなくなり、「なりたい人よ り、なってもらいたい人を選ぶ」という推戴制となり、89世から宗派を代表する9人の委員の合議によって選ばれることとなりました。

こうして選ばれた前任の小木曽猊下は人格・識見ともに優れた管長さんでしたが、高齢をもっての故に1期5年で引退されました。

その後任である私も、当然5年で引退するべきであるのに、異例の再推戴となったのです。

これには一度は辞退したのですが、京都だけでなく地方の寺院住職や 檀信徒の方々が強く再任を希望している、といわれれば無碍に拒否することもできず、就任を受諾しました。

喩えていえば、マラソンのコース42.195kmを懸命に走り抜いて、ゴールのテープを切る寸前に、「もう一度走って下さい」と言われたような気分です。

 もうすぐ後期高齢者になる身には、果たして体力と気力が持続するかどうか不安がありますが、「みかえり阿弥陀」さまの「志願無倦」の慈悲の働きを仰ぎ 「あきず、あせらず、あきらめず」自分のペースで公務に精進しようと思っています。

 過ぎた5年を振り返れば、中興永観律師900回忌と宗祖法然上人800回大遠忌の導師を無事勤め、お待ち受け法要で京都のみならず、北海道・東国・山口 などの地方寺院を巡錫し、念願の五重・授戒会が13か寺で開筵されて多くの佛弟子となられた方々と深い仏縁を結び、また、幼稚園で毎月童話をしたり、わが宗門外の方々に講演する機会を多く与えられ、その集大成としてNHKの「こころの時代」に出演したことなど、充実し た時間を過ごさせていただきました。

 さて、2期目に入るに際して気持ちを切り替え、新たな決意で再スタートしましょう。

御本尊見返り阿弥陀如来と宗祖法然上人への報恩・感謝と懺悔と、一人でも多くの人の幸せを願う誓願立志との念仏の三本柱を大切に、共に歩んでいきましょ う。

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