大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2016年(平成28年)7月のミニミニ法話・お説教

2016年(平成28年)7月

玄禮和尚のお説法

2016年(平成28年)7月

~ 第100回 「水に学ぶ」 ~

 7月に入って、梅雨も後半になりました。九州に降る雨は、各地に多くの被害をもたらしたようです。

梅雨の終わりに強雨に見舞われることはよくある、と気象予報士さんがいっていましたが、生活をおびやかすゲリラ豪雨は願い下げにしたいですね。

 先日、梅雨の雨あがりに宇治の三室戸寺へお参りしました。というよりも、アジサイを見に行ったというのが正直なところです。

赤や紫、青の色とりどりの紫陽花が雨に濡れてしっとりと咲いていて、実に美しい光景でした。

中に一輪、ハート型に咲いたピンクの花がありました。なにかいいことがあるでしょうか。

 五月の雨と書いて「五月雨」(さみだれ)といいますが、これは陰暦の頃の言葉であって、陽歴の今は俳句では6月から7月にかけての夏の季語です。

この五月雨と大河を詠んだ有名な句が二つあります。

 一つは「五月雨をあつめて早し最上川」。芭蕉の「奥の細道」の中でも名句といわれています。

梅雨の雨が最上川に集まって猛烈な勢いで流れている、という句です。

もう一つは、「五月雨や大河を前に家二軒」。与謝蕪村の句です。

決壊するかもしれない大河を前に、二軒の小さな家が並んでいる情景が目に浮かびます。

芭蕉の句が、船に乗って大河と一体になっているのに対して、蕪村の句は画家の目で絵のように詠んでいます。動と静の対照的な句ですね。

 ところで、古来仏教に「水に学ぶ教え」が伝えられています。
・水は生きとし生けるものに命を与え育む。
・水はあくまでも深く、あくまでも強く、その尽きることを知らない。

・水は仏の心のように穏やかであり、自由であり、平かである。
・水は情熱であり、初々しい。
・水は方円の器に従うが、自らの本質を変えない。

・水はある時は岩をも砕き、大きな山をも動かす。
・水は青春であり、情熱である。
・水は世界を結ぶ絆である。

 私たちはこの水の教えを自分の心として生活すれば、どんなにか明るく自由に生きられることでしょうね。

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