大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2009年(平成21年)11月のミニミニ法話・お説教

2009年(平成21年)11月

玄禮和尚のお説法

2009年(平成21年)11月

~ 第020回 「脚下照顧」 ~

 卒業を控えた学生たちにとって、就職活動は大変なことですね。すでに内定を得た人は社会人になる日に向けて、夢を膨らませている ことでしょう。 そんなフレッシュマンに、次の詩を贈ります。

 あの人が来てから、職場が明るい。
 あの人が来てから、職場にでるのが楽しみだ。
 あの人が来てから、驚くほど職場の平均が上がってきた。
 平均を上げる人は偉いから、 一人残らず平均を上げる人間になれ。

安積得也という人の作品です。
「あの人が来てから、職場に出るのが楽しみだ」、と言わせる、そんな魅力のある人はすごいですね。

 すでに今仕事を持っている人に、次の言葉はどうでしょうか。
大仏次郎の名作「宗方姉妹」のなかで、主人公にこう言わせています。

「働き盛りというか、人間には大切な時期がある。その間をまじめに働いているかどうかで、後になってから、万事に大きな開きができてくるようだね。人間の 出来上がりが違ってくるのだね。

 仕事があって、それに打ち込めず、いい加減にして不平だけを感じているような者は、方向を変えてみても、結局、終わりは駄目なものだ」

 どうですか。思いあたる節がありませんか。
時には立ち止まって、足元を見つめてみる。仏教ではこれを「脚下照顧」といいます。

寺の玄関に、このように書かれた看板を時々見ることがあります。足元をよく見よ、という意味です。平凡な言葉ですが、味わいがあります。自らの足元を照ら し、初心に帰って反省してみよ、との教えなのです。

 あの人がいるから職場にでるのが楽しみだ、といわせるような、平均を上げることのできるような、そういう魅力を持ちたいものですね。

そのためにも、時々立ち止まって「脚下照顧」してみませんか。
 
 
法話一覧へ