大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2009年(平成21年)4月のミニミニ法話・お説教

2009年(平成21年)4月

玄禮和尚のお説法

2009年(平成21年)4月

~ 第013回 「旅立て 柳絮(リュウジョ)」 ~

 この春、学校を卒業して社会人になる若者が檀家の中にもいます。フレッシュな感じがいいですね。

 柳が芽吹きはじめました。葉をのばす前に、熟した実から白い綿毛のついた小さな種が、春の風に乗って空に舞います。

俳句では、この柳の白い綿を「柳絮」と呼んでいます。いかにも春らしくて心をのどかにさせる光景ですね。初々しいところは、新入社員にもたとえられましょ うか。

以前、北海道でさかんに柳絮の飛んでいる光景をみたことがあります。白い綿毛が静かに流れるなかに身を置いていると、ささいなことはすべて忘れて、うらら かな情感にみちた気分になります。

 ところが、柳絮の親である柳の思いは、そんなのんびりしたものではないらしいのです。
それは、新天地を求めての、命がけの旅立ちなんだそうです。

柳は、石のごろごろした、カンカン照りの土地を好んで根をはって、樹林を作るといいます。
つまり、柳絮は荒地を緑化するパイオニアなのです。
 
 ところで、人間、生きがいがあるかどうかの証しとして、次の三つが言われています。

一つは、生きていてよかったという実感があるか。
二つは、人や物に「ありがたい」という感謝の念がもてるか。
三つ目は、自分はやるぞ、という、やる気があるか。

生きがいというのは、幸せの代名詞ともいえます。そのためには、なにより、まず自分に与えられた仕事に最善をつくすこと。

 無量壽経に、「我行精進」(がぎょう・しょうじん)という言葉があります。
自分がやるときめたこと、やらねばならぬこと、に精一杯の努力をする。それが「我行精進」です。

 好んで荒地を求め、旅する柳絮のバイタリティに学びたいですね。
 
 
 
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