大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2009年(平成21年)6月のミニミニ法話・お説教

2009年(平成21年)6月

玄禮和尚のお説法

2009年(平成21年)6月

~ 第015回 「父の日に」 ~

 「おとうさんの年に」という、かわいい詩があります。小学1年生の女生徒の作品です。

 おとうさんのとし にふたをしておいて/  そしてわたしだけ/ どんどんどんどん としをとって
 31さいくらいになったら/  おとうさんのふたをあけて/ うでをくんで/ けっこんするの

なんてかわいい詩でしょうね。
そんな可憐な娘も、中学・高校・大学と進んで、成人して、やがてお嫁にいきます。

 6月の花嫁は、幸せになるという言い伝えがあります。
けれど、娘を花嫁として送り出す父親の、嬉しくて少し淋しい、複雑な思いは、嫁に出した父親しかわからない気持ちでしょう。

結婚式が終わって、家に帰ると、もう娘はいない。
どうしているかと、折に触れて娘を思う。

 そんな親の気持ちをうたう、坂村真民さんの詩があります。
結婚が決まって、父と娘は日本海に近い湯の町に、思い出の旅をするんです。

静かな温泉で窓に見える桃の花に、父親は手塩にかけた娘を思います。そんな情景が一連の詩に述べられて嫁ぐ娘に送る言葉が続きます。

 「よい妻となれ。 よい母となれ。 よい人となれ 」
これは、すべての父親の願いですね。
そのようにして嫁いだ娘から、ある日、電話があります。

 「嫁いでいった/   遠い北国の空から/  電話がかかってきた。
  億光年の星の国からのように
  きょうは父の日です/ おとうさん お元気ですか と
  少しも変わっていない声が/ わたしを安心させる
  ああ 白い花のような声よ 」
 
 「父に慈恩あり。母に悲恩あり」と父母恩重経に説かれています。
父には慈恩という、きびしい愛情を受けた恩があり、母には悲恩という悲しいまでに優しい愛情を受けた恩がある、と釈尊は述べられているのです。  
 
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