大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2010年(平成22年)3月のミニミニ法話・お説教

2010年(平成22年)3月

玄禮和尚のお説法

2010年(平成22年)3月

~ 第024回 「赤いランドセル」 ~

 小学6年生のまき子ちゃんの自慢は、6年間ずっと背負い続けた赤いランドセルです。
それは小学校に入る時、二人のおじいちゃんから入学のお祝いにもらったものです。

六年間の思い出がいっぱい詰まっているランドセル。雨が降ったときは、少しでもランドセルが濡れないように気をつかい、毎日ぴかぴかに磨き上げて、今でも 美しく光り輝いています。

六年生になると、ほとんどの友達は手提げ袋で登校するようになったけれど、まきちゃんはずっとランドセルを背負い続けてきたのです。

入学した当時の赤いランドセルを写真で見ると、大変大きく写っているけれど、その大きなランドセルも今ではまきちゃんの背中にちょこんと乗っています。

 そして、まきちゃんはこういうのです。
「卒業まで学校に行く日は、あと少ししかありませんが、一日一日を大事にして、六年間共に毎日背負って通った赤いランドセルと一緒に小学校を卒業していき ます。赤いランドセルさん、六年間本当にありがとう」

 まきちゃんの言葉に感心してしまいました。
涅槃経という釈尊最後の説法の中に、
「足ることを知る者は、豊かであり心安らかである」

という教えがあります。これだけ物があふれかえっているのだから、せめてもののいのちを生かすという心を養いたいですね。

 どんなにたくさんのご馳走があっても、おなか一杯しか食べられないように、どんなに幸福になろうとしても、自分の心が不満で一杯ならば、それ以上は入ら ないのです。

いま、ここで満足しないと、いつまでたっても不満しか残りません。。
「足ることを知る人にのみ、この世は豊かである」
もののいのちを大切にして、こころ豊かに生きたいものですね。
 
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