大覚寺のご紹介

人生を健やかに生きていくための説法を
毎月、御紹介していきたいと思います。

2010年(平成22年)7月のミニミニ法話・お説教

2010年(平成22年)7月

玄禮和尚のお説法

2010年(平成22年)7月

~ 第028回 「甲子園の夏」 ~

 今年もまた、高校野球の夏が巡ってきました。勝っても負けても一生懸命な、あの姿がいいですね。
「ワールド大会の決勝に進出して日本中を熱中させたサッカー人気に比べて、やや下火になったといわれるものの、なお引き付けられる甲子園の魅力とはなんでしょう。

 実は、私も甲子園経験者なのです。といっても選手ではなく、応援団長としてアルプススタンドで校旗を打ち振り、三三七拍子を華麗に?演じたリーダーでした。昭和33年第40回大会で、わが母校・姫路南高校は3回戦まで進出。

残念ながら和歌山の海南に破れましたが、灼熱の太陽の下でプレーするもの、応援するもの、グランドとスタンドが一体となり、そして燃え尽きたのです。

  開会前は下馬評にも上がらなかった無名の公立校が、3回戦まで進出するのは、試合の流れにスリルがあって劇的に展開するからでしょう。グランドで繰り広げ られるプレーの一つ一つに、少年たちの哀歓が交錯する光景。そこに大人たちは、もはや戻れない少年時代への郷愁を感じるのです。

 時代をこえて存在する甲子園の魅力。
 その一つは、球児たちのひたむきさ。どんなに大差がついても、球を投げ、打ち、追いかけ、最後まで全力を尽くす姿に観衆は惜しみない拍手を贈ります。

 二つは、汗と涙。猛暑の中を戦った選手たちの汗に感動を覚えます。9回を投げ向いて敗戦投手になった若者の涙を、美しいと思います。

 もう一つは、勝者よりも敗者をたたえ、いたわる観衆の心情。「また来いよ」の掛け声は、いつも敗者にあたたかい。

 若いという字は苦しいという字に似ている、という歌がありましたね。
自分のやるべきこと、やると決めたことを、よくわきまえて、たとえどんなに辛くても苦しくても、不平不満を言わないで、苦しみに耐えて黙々と実行する。

それを釈尊は「我行精進・忍終不悔」(がぎょうしょうじん・にんじゅうふげ)と無量寿経に説かれています。「わが行は精進して、忍びてついに悔いず」と読みます。

 青春とは、燃えながら生きること。そこに後悔はないのです。

 
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